« <死刑執行>青森・武富士強殺放火の死刑囚ら2人 | トップページ | 秋葉原事件・加藤智大被告、12月18日最高裁「弁論」の意味するものは »

2014年11月20日 (木)

内モンゴル冤罪事件・・・死刑執行から18年後の再審理決定、ただし書面のみ・非公開

サーチナ 11月20日(木)14時59分配信

 内モンゴル自治区高等法院(高裁)は20日、1996年に強姦殺人事件の犯人とされ死刑を執行とされたホクジルト(フクジルト)さんについて、再審理を行うと発表した。ただし書類による審査で非公開という。同件は、11月になりメディアが改めて「冤罪(えんざい)」と報じたことで、注目を集めていた。

 ホクジルトさんは1996年4月9日に発生した、公衆トイレ内で女性が殺害された事件で、遺体の第1発見者だった。ホクジルトさんは同事件の容疑者とされ起訴された。約2カ月後の6月10日に死刑判決を言い渡され、刑は即日、執行された。「凶悪犯罪ほど速やかに決せよ」との政治キャンペーンが行われていたための“スピード判決・スピード執行”だった。

 2005年10月になり、別の連続強姦・強盗・殺人の疑いで逮捕された趙志紅容疑者が、警察の取り調べに対して再三にわたり、ホクジルトさんが犯人とされた事件について「自分がやった」と供述した。

 趙容疑者の供述には整合性があり、精神鑑定を行った警察の専門官2人も、96年の事件の犯人は趙容疑者だったとの考えを示した。2人によると、警察もホクジルトさんは冤罪で処刑されたと認めた。

 内モンゴル自治区高等法院は20日に記者会見を開き、説明と質疑応答を簡易投稿サイトの微博(ウェイボー、中国版ツイッター)で発表した。再審理を決めた主な理由は「親族からの要請」があったためで、刑事訴訟法第242条2項にある、再審理が認められる条件である「原判決が有罪として言い渡した量刑の証拠が不確実で不十分である場合」を適用したという。

 また、同法院だけでなく、事件に関係した警察や検察による再調査の結果も再審理を決める要因になった。同法院は「事件が発生してから長時間が経過したので証拠の確認は極めて困難だったが、人の命にかかわる案件なので、十分に真剣な態度と、事実をもって根拠とすること、法律を基準にすること、厳格で詳細であること、客観的で公正であること、きちんと責任を負うことなどを堅持して、審理に臨む」と説明した。

 同法院によると、被告人がすでに死亡しているため、刑事訴訟法解釈第384条により、書面による審査とした。そのため、再審理は実質的に非公開となった。

 ただし被告側弁護士は関連書面を閲覧でき、意見等を提出することも認められる。また、「再審理にかかわる者は、弁護士を行くめて権利を厳密に保護する」という。

**********

◆解説◆
 警察関係者すらも冤罪を認めていたにもかかわらず、同件の見直しが行われなかったことについて、内モンゴルの共産党関係者からは、ホクジルトさんに対する再審理が行われてこなかった理由として、「『スピード逮捕・スピード処刑』で表彰された警察関係者もいる」、「その後も昇進して地位が高くなった者」との指摘が出た。

 中国では官僚や共産党関係者が不正を行ったり、明らかな失敗をした場合でも、問題が表面化する前に関係者が「出世」した場合、責任の追及ができなくなるという問題が多かった。

 たとえば現在、問題になっている地方政府の債務問題でも、地方トップが、採算性などを無視して巨大なプロジェクトを進めたケースが多いとされる。投資により域内総生産(GDP)が跳ね上がり、担当したトップには「上部」から評価され、さらに広い地域の責任者などになる可能性が出てくる。

 後を引き継いだ新しいトップは、前任者の「無責任な仕事」を知ることになるが、批判や告発をすると自分の立場が悪くなるので「見て見ぬふり」をする。それどころか、同様の手法で自分も出世しようとする場合も多い。地方には借金だけでなく、深刻な環境汚染が残る場合もある。

 メディアは長年にわたりホクジルトの冤罪疑惑について沈黙してきた。11月になり一部メディアが同問題を取り上げたことで、注目度が一気に高まった。内モンゴル自治区高等法院は世論を受ける格好で、再審理を発表した。

 内モンゴル自治区内の動きだけで「関係者が出世したから事件見直しが難しい」との状況が急変したとは考えにくい。共産党中央の意向が働いての再審理決定であることは、ほぼ間違いない。(編集担当:如月隼人)

|

« <死刑執行>青森・武富士強殺放火の死刑囚ら2人 | トップページ | 秋葉原事件・加藤智大被告、12月18日最高裁「弁論」の意味するものは »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/473217/58109323

この記事へのトラックバック一覧です: 内モンゴル冤罪事件・・・死刑執行から18年後の再審理決定、ただし書面のみ・非公開:

« <死刑執行>青森・武富士強殺放火の死刑囚ら2人 | トップページ | 秋葉原事件・加藤智大被告、12月18日最高裁「弁論」の意味するものは »