執行猶予付き死刑判決? 中国“死刑大国”の現実
産経新聞 8月22日(月)7時55分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110822-00000076-san-int
【世界おもしろ法律事典】
自民党などが提出した菅内閣不信任案が反対多数で否決された今年6月上旬、中国の英字紙チャイナ・デーリーは延命工作を「死刑に執行猶予が付いただけ」と論評した。
中国の法廷ではしばしば、執行猶予付きの死刑判決が言い渡されるので、そこから引用したのだろうが、ふつう執行猶予といえば、猶予期間中に罪を犯さなければ刑の執行が免除されるというもの。執行猶予付きの死刑判決には、一般的な感覚では「?」が付くに違いない。
中華人民共和国刑法48条および50条に死刑の執行猶予に関する規定がある。それによると、一律2年間という執行猶予期間中、故意に罪を犯さなければ無期懲役に減刑される。さらに、他人の犯罪行為を阻止したり、捜査機関の犯人逮捕に協力したり、国家や社会のために重大な貢献をしたりすれば、15年以上20年以下の懲役に減刑するという。
中国独特の執行猶予付き死刑判決は、反革命分子を押さえつけようとした毛沢東の「人民民主独裁論」に源流を見いだすことができる。「反動階級に対しては強制的に新しい人間につくり替えるため、労働を強制し、宣伝教育活動も実施する」。闘争の中で死の恐怖をもって“改造”を強いることにより、共産党独裁を確固たるものにする狙いがうかがえる。
刑法の草案が審議された際、「死刑の適用を極力少なくすること」との意見があった。しかし、中国では殺人のほか薬物犯罪や賄賂授受、業務上横領、金融詐欺、性犯罪、文化財密輸までが死刑の対象。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの報告書によると、猶予判決制度があってもなお、中国では昨年1千件以上の死刑が執行された。それが“死刑大国”の現実である。(北京 川越一)
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