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2011年7月 3日 (日)

法廷ノート:検証・松戸女子大生殺害判決/下 死刑のハードル /千葉

毎日新聞 7月3日(日)11時29分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110703-00000052-mailo-l12

 ◇永山基準こだわらず 裁判員により重い責任
 「素人ながら、他の殺人事件で『これは死刑で当然だろう』と勝手に予想していた事件が、ことごとく無期(懲役)や有期刑になった時に『死刑はこんなにハードルが高いのか』と思った」
 強盗殺人などの罪に問われた竪山辰美被告(50)に死刑が言い渡された6月30日。被害者の荻野友花里さん(当時21歳)の父卓さん(62)は閉廷後、判決が出るまでの心境について、こう語った。
 死刑判決を下すにあたり、判断の基準とされてきたのは、死者4人の連続射殺事件の最高裁判決(83年)で示された「永山基準」。やむを得ず死刑が認められる条件として犯行の悪質性や動機、犠牲者の数などを列挙した。裁判官だけで裁くこれまでの公判では、犠牲者が1人の場合、永山基準に照らし死刑が回避されるケースが多かった。
 竪山被告の公判で検察側、弁護側双方が量刑の根拠として提示したのも、この永山基準だった。検察側は犯行の悪質性などを強調し「永山基準は死者が複数でなければ死刑にできないというものではない」と死刑を求刑。弁護側は「殺害したのは1人だけ」などと死刑回避を訴えた。
 司法のプロが提示した四半世紀以上前の永山基準。裁判員らはどう受け止めたのか。判決後、裁判員を務めた男女と補充裁判員を務めた男性の計3人はいずれも「基準にはこだわらなかった」と話し、「こだわる基準なのか」「それぞれの判断で(判決を)決めていくべきだ」と話した。
   ◇  ◇
 判決では「死者が1人であることは十分考慮されるべきだ」としながらも「(荻野さん以外にも)重篤な傷害や深刻な性的被害者が多数いる」などとして「殺害された被害者が1人であることなどは、死刑を回避する決定的事情とまではならない」と結論づけた。
 渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)は「永山基準で被害者の数は一要素にとどまる。他に重大事件を連続して起こした点も考慮すると酌量すべき事情は見当たらない」として判決は妥当とみる。そのうえで「永山基準で裁判員を拘束すべきではない。裁判員は自分の目の前にある証拠を咀嚼(そしゃく)して刑を下さなくてはならず、むしろもっと重い責任を負う」と述べる。
 とはいえ、死刑については執行の経緯や手段など、市民にはこれまで知らされていない部分が多かった。渡辺教授はこう付け加える。「死刑選択の責務を裁判員が負うのならば、死刑運用の実態も明らかにすべきだ。犯罪の悪質さと刑罰の合理性が一体となって初めて極刑選択の正義が実現されたといえる」(この連載は斎川瞳が担当しました)

7月3日朝刊

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