川崎・3人刺殺:緊張の裁判員6人 犯行説明に遺族おえつ--初公判 /神奈川
毎日新聞 6月3日(金)12時29分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110603-00000125-mailo-l14
県内2例目の死刑求刑の可能性が高い裁判員裁判が2日、横浜地裁で始まった。被害者の遺族が極刑を求める中、市民が難しい判断を迫られることが予想される。緊張した表情で、裁判官とともに審理に臨む裁判員6人。判決は17日に言い渡される。【山下俊輔、宗岡敬介】
■津田被告
午前10時過ぎ。同じアパートに住む夫婦ら3人を殺害したとして、殺人罪に問われた無職の津田寿美年(すみとし)被告(59)は上下黒のスポーツウエア姿、サンダル履きで入廷した。検察官が起訴内容を読み終わるまで後ろで手を組んで耳を傾けた。秋山敬裁判長が「事実は認めるということですね」と尋ねると、はっきりと「はい」と答えた。
検察側冒頭陳述が始まると、被告人席で目を閉じて聴き入り、午後5時前まで続いた公判中、ほとんど表情を崩すことなく、法廷のモニターに映し出される現場写真などを見たり、前を向いていた。
裁判員に選ばれた男性5人、女性1人はいずれも厳しい面持ちで入廷した。被害者の遺体の写真が裁判員の前に設置されたモニターに映し出されると、男性裁判員が険しい表情で画面を見つめていた。
■検察側
冒頭陳述によると、津田被告が事件現場となったアパートで暮らし始めたのは04年5月。入居約半年後、被害者の柴田嘉晃(よしあき)さん(当時71歳)が共同トイレを汚していると思い、掃除するよう依頼するが、断られ関係が悪化したという。
部屋の扉を開け閉めする際に大きな音を出す嘉晃さんに津田被告は怒りを募らせ、スナックで酒を飲んで帰宅した事件当日、殺害を決意。自室から包丁を持ち出して隣室の嘉晃さん、さらに妻敏子さん(同68歳)を殺害。駆けつけた大家で嘉晃さんの兄昭仁さん(同73歳)もアパート玄関先で刺殺したとされる。
■弁護側
弁護側は冒頭陳述で、事件当時の津田被告について、酒に酔い意識がもうろうとした精神状態だったと説明。脅すつもりで被害者の部屋に入ったが、もみ合ううちに嘉晃さんを刺し、その後殺意を覚えたとして、殺害が偶発的だったと主張した。
また、悪性リンパ腫やC型肝炎などを患った後、静かに余生を送る場所としてアパートを選んだが、被害者から大きな音が出るよう扉を閉めるなどの嫌がらせを4年以上も受け、極限状態に追い込まれていたとして、情状酌量を求めた。
■遺族
柴田さん夫婦の長女と、昭仁さんの妻、長女が被害者参加制度に基づき公判に臨んだ。津田被告や傍聴席から見えないように、検察官席の後ろに設けられたついたての後ろで、3人は被告や検察官の言葉に耳を傾けた。検察官が被害者が刺された傷の位置や深さなどをモニター画面を使って説明すると、遺族のおえつが法廷に静かに響いた。検察官は「命で償ってもらうしかない」「死刑にしてください」といった遺族の調書を読み上げ、処罰感情が強いことを強調した。
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