菅第2次改造内閣 課題山積の省庁、期待と困惑 検察・尖閣・拉致 どうする?
産経新聞 1月15日(土)7時56分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110115-00000126-san-pol
14日発足した菅直人首相の第2次改造内閣。昨年来、大きく揺れた省庁でも新しい大臣を迎えた。検察の不祥事が起きた法務省には前参院議長、中国漁船衝突事件で注目された国土交通省には前経済産業相。顔ぶれは新鮮味に乏しく、今春の統一地方選の候補者や識者からは「これでは支持率が上がらない」と落胆の声が漏れた。
◆元裁判官
大阪地検特捜部の押収資料改竄(かいざん)・犯人隠避事件を受けた検察改革や、死刑の存廃を含めた議論など、課題山積の中、法相に就任した江田五月氏。
最近は、在任中に参院選で落選した千葉景子氏、舌禍で辞任した柳田稔氏、官房長官と兼務の仙谷由人氏と、イレギュラーな人事が続いた。ある法務省幹部は「兼務で事実上、大臣不在だった。政策課題がようやく進むのでは」と話す。
一方、元裁判官で司法制度改革にも携わった江田氏の就任に「これから本当に大変だ」と、ため息をつく検察幹部も。法相の私的諮問機関では、取り調べの全過程を録音・録画する「可視化」も検討されている。別の検察幹部は「日本弁護士連合会の意向を受け、可視化を強く迫るのではないか」と危惧した。
◆未知数
沖縄県・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で関心が集まる海上保安庁を所管する国土交通省。問責決議が出された馬淵澄夫氏が“更迭”され、前経済産業相の大畠章宏氏になった。
大畠氏は野党時代の民主党の「次の内閣」でも金融担当相で、国交畑の手腕は未知数。海上警察権の議論が高まる渦中の交代だが、海保幹部は「誰がトップになっても職務を遂行するだけ」と冷静だ。
八ツ場(やんば)ダム問題では、国の建設中止方針を事実上撤回した馬淵氏の交代に地元は不安を募らせている。大畠氏は就任会見で「馬淵氏の基本方針を大切にする」と述べ、踏襲する考えを示した。
◆4人目
「期待すればすぐに代わる。いつまでこの繰り返しなのか」。中野寛成氏が拉致問題担当相に兼務で就任したのを受け、横田めぐみさん=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(74)は嘆く。菅政権で担当相は4人目だ。
中野氏は、野党時代の民主党の拉致問題・日朝交渉対策本部副本部長を務めたが、被害者家族への知名度は低い。田口八重子さん=同(22)=の兄で拉致被害者の家族会代表、飯塚繁雄さん(72)は「拉致が最優先なら担当相に権限を与え、動ける態勢を整えてほしい」と求めた。
中野氏は就任会見で「(北朝鮮は)不条理のかたまり。一刻も早い帰国に向け、全力を尽くしたい」と意欲を見せたが、「担当相がコロコロ代わる」との質問には「誠に申し訳ない」と陳謝した。
■「史上最低内閣」
□選挙プランナー、三浦博史氏の話
「まったく代わり映えしない顔ぶれで、内閣支持率が上昇する要素が見あたらない。『最強の布陣』というが、『この人が加わったのでこの分野が強くなる』という期待感がない。目玉は財政再建に向け一本釣りした経済財政担当相の与謝野馨氏だろうが、自民党で閣僚を務めた際にも実績を残した印象はない。『小沢切り』のカードもすでに使っており、選挙に向け、訴えるものがない。統一地方選の候補者の間でも離党が相次いでいる。外交や安全保障で国の評価を低下させ続ける史上最低内閣だ」
■小沢色ない“剛腕”
□精神科医、香山リカ氏の話
「与謝野馨氏の起用など、経済・財政対策に偏り、いよいよ切羽詰まっているのだなと感じた。仙谷由人氏を切ったのも内閣のイメージというより、切羽詰まってのこと。鳩山政権時代は『友愛』などといって生活・福祉の視点が強かったが、軽視されている印象がある。女性閣僚も1人になってしまった。『最強の態勢』というより、ただ力業という感じで、小沢色はないけど“剛腕”のイメージだ。与謝野氏の入閣もあり、決別を宣言したはずの自民党政治への揺り戻し感がある」
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コメント
小田島さんの恩赦は、いつですか?遺族が、知りたがっています。
投稿: | 2011年1月25日 (火) 22時49分