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2011年1月 2日 (日)

首都圏と鳥取の連続不審死…今年も控える注目裁判

産経新聞 1月2日(日)0時13分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110102-00000500-san-soci

 昨年末には死刑判決も相次ぎ、“本格始動”の感もある裁判員制度。今年以降も直接証拠に乏しい事件や被告が「完全黙秘」を貫く事件の公判が控える。検察側と弁護側の主張が真っ向からぶつかり合う公判を裁判員はどう裁くのか。平成24年の裁判員法見直しを控え、制度の未来を占う上でも重要な1年となりそうだ。(森浩)

【フォト】法廷イラストの禁止を報じる紙面

 ■「毒カレー並み」…屈指の難事件に

 「私は殺していません」

 東京、千葉、埼玉の連続不審死事件で、練炭自殺に偽装して男性計3人を殺害したとして殺人罪などに問われている木嶋佳苗被告(36)は、犯行を否認した後は黙秘を貫いている。

 「乏しい物的証拠と被告の徹底した否認。和歌山毒カレー事件を想起させる。裁判員制度開始以来、屈指の難しい審理となるだろう」と刑事事件に詳しい弁護士は予想する。

 木嶋被告はこれまでに殺人罪でさいたま地裁、東京地裁立川支部、千葉地裁に起訴されている。

 起訴状などによると、木嶋被告は21年1月~8月にかけ、会社員の大出嘉之さん=当時(41)▽会社員の寺田隆夫さん=当時(53)▽無職の安藤建三さん=同(80)-の3人を練炭自殺などに見せかけて殺害したとされている。

 いずれの事件も直接証拠は少なく、殺害に使用した練炭の購入経緯や被害者の預金の引き出し履歴など、状況証拠を積み重ねた末の立件だった。

 捜査幹部は「『木嶋被告以外が犯行を行うことは不可能』というところまで状況証拠は集まった」と立証に自信を見せるが、裁判員は限られた材料から、有罪か無罪かも含めて判断することになる。

 刑事訴訟法は1人の被告が複数の裁判所で起訴された場合、1つの裁判所に事件を併合できると定めている。一連の事件の公判は、すでに大出さん事件の公判前整理手続きが始まっているさいたま地裁で併合されて一括して開かれる可能性がある。

 ■こちらも「完黙」、状況証拠をどう判断?

 同じく連続不審死事件として注目を集めた元スナック従業員の上田美由紀被告(36)=強盗殺人罪や詐欺罪などで起訴=は、鳥取地裁で昨年12月24日、強盗殺人罪の第1回公判前整理手続きが開かれた。

 起訴状によると、上田被告は21年4月と10月、鳥取県内で男性2人に睡眠導入剤などを飲ませて殺害。借金や電化製品の代金の支払いを免れたとされる。

 上田被告は木嶋被告と同様、強盗殺人について黙秘を続けている。カーナビや自動車ナンバー自動読み取り装置(Nシステム)の記録など状況証拠を中心にした立件で、証拠件数が多いことなどから、公判の争点整理には時間がかかる見込みだ。

 ■「生活音がうるさい」…死刑求刑か

 精神鑑定を経て検察側が起訴した重大事件も控えている。死刑が求刑される可能性もあり、精神鑑定の結果を踏まえて被告の責任能力をどう判断するか、ここでも裁判員は難しい判断を迫られる。

 川崎市で大家の男性ら3人を殺害したとして殺人罪で起訴されているのが、津田寿美年被告(58)だ。

 起訴状によると、津田被告は21年5月30日朝、川崎市幸区のアパートで、大家の家族ら3人を刺殺したとされる。

 捜査に当たった神奈川県警などによると、津田被告は「生活音がうるさかった」などと供述。横浜地検は3人を殺害した動機としては不十分として津田被告を鑑定留置した結果、刑事責任を問えると判断した。

 大阪地裁では、パチンコ店でガソリンをまいて放火し、5人を死亡させたとして殺人や現住建造物等放火などの罪で起訴された高見素直被告(42)の公判前整理手続きが進んでいる。

 起訴前の精神鑑定では、幻聴や妄想、思考・意欲の低下などさまざまな症状がある「統合失調症」と診断されたが、大阪地検は責任能力はあると判断し、起訴に踏み切った。

 ■長期化する「公判前手続き」

 裁判員法の付則には、施行して3年後の検討と、必要な場合の見直しが掲げられている。

 22年10月末までの裁判員裁判の実施状況によると、全国で裁判員に選ばれたのは計7703人。特徴的なのは裁判前に争点や証拠を絞り込む公判前整理手続きに長期化の傾向が見えることだ。平均5・1カ月かかり、5月末時点の平均4・2カ月より長くなった。

 裁判員裁判ではないが、千葉県東金市で保育園児の成田幸満ちゃん=当時(5)=が殺害された事件では、勝木諒被告(23)=殺人罪で起訴=の公判前整理手続きは計19回におよび、実に1年8カ月もの時間を要した。

 刑事事件に詳しい弁護士は「弁護団内部での意見の食い違いにより主任弁護人が突然交代するなど、弁護側の都合があったが、いくら何でも長すぎる」と説明する。

 裁判の迅速化からはほど遠く、被告にとっても勾留期間の長期化につながる。

 「裁判員の負担軽減などを考えて争点を絞り込むのが公判前整理手続きだが、あまりに長期化するのも問題だろう」と指摘するのは、甲南大学法科大学院の園田寿教授(刑法)だ。

 園田教授は昨年末の5件の死刑求刑を経て裁判員制度が「本格化してきた」と指摘する。

 「24年の裁判員法見直しを控えて、今年の裁判も要注目。刑を選択する裁判員の精神的負担はどうするか、裁判員裁判の対象となる刑は今のままでいいのかなど解決すべき課題は多い」と話している。

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