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2011年1月12日 (水)

“最高権力”検察をどうすれば変えられるのか<1/5>(『創』2011年2月号より)

創 1月12日(水)14時44分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110112-00000301-tsukuru-soci

・辻恵(民主党衆議院議員)
・三井環(元大阪高検公安部長)
・鈴木邦男(一水会顧問)
・安田好弘(弁護士)
・青木理(ジャーナリスト)
(敬称略)


小沢問題や証拠改ざん事件で検察への怒りが吹き荒れている。
市民のこうした怒りはどういう形で具現化されればよいのか。
検察批判を続けている当事者が議論を行った。


◆取調べ可視化が司法を変える第一歩◆

篠田(司会) 検察に対する市民の怒りが高まっている中で、その声をどう反映させたらよいのか、検察をどうすれば変えられるのか議論します。またメディアの責任も論じてみたいと思います。
 辻恵さんは可視化議員連盟の中心メンバーで検察官適格審査会の委員でもあります。まずそれについてお話下さい。

辻 民主党は2009年に可視化ということを謳っていたので、当然法務省で可視化法案を出してくるものだと思っていたら、一向に動きが見られない。どうも様子を見ていると勉強会を2年とか3年計画でやって、先送りをしようという動きが見られるので、これではいけないと思い、2009年12月に可視化議連というものを4人で作りました。10年の1月から30回近くにわたって総会とか勉強会をやってきています。

 可視化がなぜ重要なのかというと、菅家利和さんの足利事件を見ても分かるように、とにかく密室で自白を取る取調べを裁判所は安易に信用してどんどん有罪判決を出してくるわけです。後でどんなに「あれは違うんだ」と言っても、一度調書を取られていたら、何か怪しげなことがあるから認めたのだろうということになります。

 だからやはり根本のところで密室の取調べを変えるということが、日本の司法を変える出発点だろうと思って、可視化議連を作ったのです。しかしこれまでの法務大臣に一向に熱意が見られない。私は衆議院の法務委員会の民主党筆頭理事であると同時に、法務部門会議という民主党の現場の政策会議の座長をやっているので、そこで可視化法案を決定し、これを党の意見として上げるための手続きを取っている最中です。

 ところが抵抗が非常に強い。しかも法務省の大臣、副大臣、政務官の了解を取らないと具体的な法案になかなか出せないということで、いろいろ議論している最中です。しかしこれが出来ないようであれば、何のための政権交代であったのかと言われかねないと思います。

 可視化問題は弁護士時代から問題意識を持っていたということだけではなくて、立法・行政・司法の三権分立といわれる日本の統治機構ですが、司法が全く機能していません。司法を変えるためにどうするのか。まずは民事、刑事、行政とありますが、刑事の一番のところで、可視化することが重要だと思っています。

◆検察官適格審査会の実態とは!?◆

辻 検察官適格審査会というものは、もともと検察官として職務にふさわしくない人を辞めさせるための制度として検察庁法に規定があって、1948年くらいに制定されたものです。当時はGHQの占領下ですが、戦前の司法が非常に体制翼賛的なものであって、まともに機能していなかったので、検察も民主化しないといけないということで、たとえば検事総長を民間人から選べるようにせよとか、いろいろな改革要求をGHQから突きつけられていました。そういうことに対するごまかしの策だったんですね。

 不当な不起訴に対しては国民の声で検察審査会がチェックする。検察官については3年ごとにちゃんと職務をやる検察官かどうか検察官適格審査会というものを設けてチェックすると。適格審査会は全部で11人で、そのうち5人は日弁連会長や法制審の会長などです。残りの6人が国会議員で与党である民主党は4人、野党が2人です。ところがこれは1年に1回しか開いていませんでした。

 先日、三井環さんが大阪地検特捜部の問題で適格に欠けるという申し立てをされているんですが、事務方は全部最初に問題を整理して「これは審査委員がチェックするまでもなく、本当に不当なものですから」ということでこれまでは終わって、具体的な審査をやっていない状況です。私と同じ可視化議連の川内博史衆議院議員と森ゆうこ参議院議員が入って、具体的にもっと資料を出せ、機能をもっとしっかりさせていかないと何の意味もないではないかという話をしました。

 年1回しか開かれていなかったのですが、2010年11月に第1回があって、これは毎月でも開いてどんどんやっていかなければいけないとなって、12月27日に第2回の適格審査会があります。そういう小さな制度から、もともとの建前の筋をちゃんと通すような、息吹を吹き込んで活性化させていくことが、とりあえずの私の役目かなと、頑張っています。

篠田 適格審査会が実際に機能して罷免になる可能性はあるんでしょうか。

辻 いままで何十人か何百人か扱われて、二件です。一件については行方不明になっているので罷免。もう一件は審査を始めたら辞職したんです。つまり罷免の決定は一件だけです。1948年から60年やって、行方不明の佐賀県の副検事さんを一人、罷免しただけですので、全く機能してないんです。

篠田 千葉景子元大臣が座長を務める「検察の在り方検討会議」というものができましたね。あれも危惧するのは上のほうで審議して結果だけを聞かされて終わりみたいな感じが少しします。検察に対する怒りをどうやって実効性のあるものにしていけるかだと思います。

辻 検討会議は大阪地検の問題で「特捜を解散してしまえ」というような声を無視できなくて作ったのですが、メンバーが20人くらいいます。一応2011年の3月までに結論を出すと言って、そこで議論されたことが新聞で、特捜案件の一部可視化をやるということで検討会議でやっていると出ていました。それを見ると可視化が進んでいるという話になりますが、それは法律で可視化を義務化して、可視化しないと証拠に使えないというようなことになるのではなく、「可視化しなさい」という内部通達のようなものです。ある意味で非常にぬえ的というか、実効性がないわけです。だからそういうことも監視していかなければいけないと思いますね。

 個人としての責任問題と、組織としてのあり方の責任問題があって、それから制度としてどうなのかという問題があって、それぞれやっていかなければいけないですね。

◆適格審査会への申し立てその後◆

篠田 三井さんは適格審査会に申立書を出されましたが、その後どうでしょうか。

三井 10月1日現在で審査申立人は1058名。12月1日に200名弱足しました。12月5日に集会をしてデモもしましたが、そこで150人以上集まりました。だんだん増えているんですよ。賛同してくれる方がおられれば、氏名と簡単な職業さえ書いていただければまた追加して出します。これは共同申立人で、私もそのうちの一人ということなんです。やはりみんなで声を上げないと駄目ですよ。そうしないと政治家は動きませんから。

 検察官を辞めさせる制度は、日本においてはそこしかないんですよ。

篠田 市民の力で圧力をかけていこうということですよね。

三井 こないだのデモでの署名は150人ですが、デモにはムチャクチャ集まった。民主党の森ゆうこ参議院議員にも出席してもらって、挨拶してもらいました。

 今の法務検察を見てください。重病人ですよ。今がチャンスです。法務検察を改革せねば。それには政治家も巻き込まないと。やはり国民が声を上げたら政治家は動いてくれるんですよ。立ち上がりましょう。

篠田 元検察官とは思えない。最近はすっかり市民活動家になってしまいましたね(笑)。
(続く)

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