裁判員1人が会見「何度も涙を流した」 初の死刑判決
産経新聞 11月16日(火)13時20分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101116-00000563-san-soci
強盗殺人罪などに問われ死刑が求刑されていた住所不定、無職の池田容之被告(32)に対して、裁判員がプロの裁判官と出した結論は、裁判員裁判で初の死刑だった。横浜地裁(朝山芳史裁判長)の16日の判決公判終了後、裁判員を務めた男性1人が記者会見に応じ、厳しく重い判断を迫られた感想を「毎日が大変ですごく気が重かった。何度も涙を流してしまった」と語った。
会見に応じたのは、50代の男性。男性は判決朗読の間、何度か池田被告をじっと見つめていた。会見では、朝山裁判長が説諭の際、「控訴を勧めたい」と述べたことについて問われると、「私でもそうお願いしたい立場」と話した。「被告にメッセージは」との質問には、「一言、いうなら…」としばらく思案した後、「裁判長と同じく『控訴してください』といいたい」と語った。
裁判員を務めたことについては、「私のような素人がやったことは、意味があったと思う。よい経験となった」と振り返った。男性2人殺害という事件は、「あまりに大きすぎて、(審理を経て)自分の中でまとまっているようで、まとまってないのかもしれない」とした。その一方で、「永山基準を根拠とした判決だったので、死刑判決に、それほど違和感はなかった」とも述べた。
会見中、さまざまな質問に対して「言葉に出せない」といった返答や、「返事に困る。少し難しい」などと答えるなど、困惑する様子がたびたびみられた。
この日の池田被告は、これまでの公判と同じスエット姿ではなく、判決公判ということもあってか、濃い紺色のスーツに青いネクタイ姿で現れ、神妙な表情で被告人席に座った。裁判員らは、厳しい表情で、手元をじっと見つめていた。
朝山裁判長が判決理由を朗読する間、被告人席に座った池田被告は、背筋を伸ばし、裁判長の方を落ち着いた様子で見つめた。朗読を終え、主文言い渡しのため、朝山裁判長に証言台に立つように促されると、池田被告は、「はい」と短く答えた。その際、顔は紅潮していた。
死刑を言い渡されると、はっきりした声で「ありがとうございました」と述べ、朝山裁判長に向かって一礼。その後、池田被告は、傍聴席に振り向き、「申し訳ありませんでした」と述べ深々と頭を下げ、法廷を後にした。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント