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2008年10月20日 (月)

フィリピーナ連続猟奇殺人 9年前の事件を警視庁に全面自供した「チャーリー」

死刑関連ニュース
10月18日10時30分配信 産経新聞

東京・台場で4月、交際していたフィリピン人女性の遺体を切り刻んで海に投げ捨てた男「チャーリー」が、9年前にもフィリピーナを殺害、遺体をバラバラにしていた疑いが強まり、警視庁捜査1課に再逮捕された。繰り返された猟奇殺人だが、9年前は死因が特定できず殺人の立件は見送られていた。今回は「チャーリー」の全面自供を得て捜査が動いたが、直接の物証はゼロに等しい。ガンに冒されていたという「チャーリー」はなぜ自供したのか。警視庁は完全に「チャーリー」を“落とした”のか。注目の公判はこれからだ。

■“疑惑の男”

「9年前の事件でも首を絞めて殺しました-」

住居の台場のマンションで、交際相手だったカミオオサワ・ハニーフィット・ラティリアさん=当時(22)=を殺害、遺体をバラバラに切断して捨てたとして4月に殺人、死体損壊、同遺棄容疑で逮捕された野崎浩容疑者(48)=起訴。

この事件の捜査中から、警視庁捜査陣は野崎容疑者の“疑惑の過去”に注目していた。

9年前、野崎容疑者は当時交際していた、フィリピン人のヨネダ・ロンガキット・エルダさん=当時(27)=の遺体を切断して捨てたとして埼玉県警に逮捕され、死体遺棄と死体損壊の罪に問われて有罪判決を受けていた。

明らかに不審な死。野崎容疑者がエルダさんを殺害したと疑われたが、死因を尋ねられると「起きたら死んでいた。自分の手で弔ってあげたくて切断して捨てた」と言い張った。

捜査にあたっていた埼玉県警は、遺体の遺棄先を徹底的にあたったが「トイレに流した」などとする供述以外に引き出せず、歯や毛髪以外の手がかりを握る遺体は見つからなかった。結局、「殺人」での立件は見送られた。

「フィリピーナ」

「バラバラ」

同一人物の周囲の女性がこれだけ共通項を抱えて死亡するなど、偶然の一致では片付けられない。台場の事件を受け捜査に入った警視庁は連続猟奇殺人との疑いを強め、当初から9年前の事件の再捜査を念頭に置いていたようだ。

さて、その野崎容疑者は台場事件で殺害証拠を警視庁に完全に握られたことで、完落ち。

口は軽くなり、9年前の事件でエルダさんの遺体を捨てた場所についても「横浜の運河」と具体的に供述した。

《遺体の一部でも見つかったら、9年前の事件でも殺人容疑で再逮捕に踏み切る》

捜査幹部はそう方針を決め、警視庁は6月に横浜の運河を大捜索、人骨を見つけた。容疑者の供述に基づいて遺体が発見されれば、犯人しか知り得ない秘密の暴露になり、動かぬ証拠になるが、人骨は、DNA型鑑定の結果、別人のものと判明。捜査は再び、暗礁に乗り上げたかのようにみえた。

しかし警視庁は「供述は一貫している」などとして、遺体は見つかっていないにもかかわらず、今月、殺人容疑での再逮捕に踏み切った。

■自供促した「2つの誤算」

その野崎容疑者は、台場事件での取り調べで、最初は完全黙秘を貫いていた。

 「恐らく、9年前の事件を“教訓”に、死体さえ見つからなければ、罪に問われないことを知っていたからだろう」

 捜査幹部はそう振り返る。

9年前は「(遺体は)トイレに流した」と強弁で殺人立件を回避した野崎容疑者は今回も、同様の戦術を狙ったとみられる。

が、「2度の誤算」が野崎容疑者の計画を狂わせた。

最初の誤算は、台場事件の際、同居の女性に、解体直後のラティリアさんの肉片を抱えているところを目撃されたことだった。

スキをみて野崎容疑者は逃げ出したが、“荷造り”が間に合わなかったとみられる30センチ四方の肉片と上腕部は、紙袋に無造作に入れて部屋に放置したままだった。

「もし、同居女性が家に戻ってきて肉片を目撃していなければ、(野崎容疑者は)人知れず遺体を処分していただろう。ラティリアさんは突然家出したのではないか-として、殺人事件で捜査されなかったのかもしれない」

 捜査幹部はそう振り返る。

逃げ切れないと思ったのか、野崎容疑者は4日後に埼玉県内で自殺未遂騒動を起こし、あっさりと死体損壊容疑で逮捕されることになる。遺体の一部も、すぐに見つかった。

それでも、肝心の死因解明のカギを握る残りの切断遺体は見つからず、野崎容疑者は、かたく口を閉ざし続けた。だが、2度目の誤算が生じる。

「死因がこのまま分からなければ、殺害されたと断定できなくなる。当然、再逮捕も無理。またしても事件が闇に葬られるのか」

捜査陣に焦りの色が見え始めたころ、お台場のマンション近くの東京湾から頭部が発見されたのだ。

頭部には首部分も付いており、そこには締められたような跡があった。

 「窒息死の疑い」

死因が特定され、完全に逃げ場を失った野崎容疑者は全面自供に追い込まれたのだった。

■がんで開き直っての全面自供?

小太りで長髪を後ろに束ねていた野崎容疑者は、決して“イケメン”だったわけではない。

ただ、手品を披露したり、自らを「チャーリー」と名乗るなど、パブで人気を得る術は知っていた。 

好みの女性を見つけると足しげくパブに通って指名を続け、時にはタガログ語も交えながら食事にも気前よく誘っていたという。

ところが、意中の女性と同居を始めると、家賃を払わなくなるなど、女性に頼るようになり、性格も豹変(ひょうへん)。最後には、ささいな口論から女性の首を絞めていた。

2人の交際女性をためらうことなく殺害した上、粉々同然にバラバラにするという異常性をみせていた野崎容疑者。

最近では、捜査1課のある捜査員だけには心を開き、罪を償う姿勢をみせているというが、これは本心なのだろうか。

野崎容疑者はガンに身体を冒されているという。

 捜査幹部が言う。

「改心したようにみえるが、結局は自分の命が尽きることを悟り、あきらめの境地になって事実を話しただけか。それとも刑を全うすることはないとタカをくくっているのかもしれない」

女性2人を殺害し、遺体をバラバラにして捨てたとなれば、死刑も想定される。9年前の事件は直接の物証がないが、公判は大丈夫なのだろうか。

「遺体が見つからなければ、必ずしも有罪にならないというわけではない」と言うのは日本大学法科大学院前教授の板倉宏氏。「だが、きっちりとした証拠を固める必要があるなど、立証が厳しくなるのは事実だ」

遺体という殺害された物的な証拠がなく、万一、野崎容疑者が供述をくつがえしたとすると、反論する手持ちの材料は少ない。

「捜査段階での供述が一貫していれば、たとえ公判で否認に転じても、自白に重きが置かれる。捜査の推移を見守る必要がある」

板倉氏はそう言う。

■異例「遺体なき殺人立件」 公判維持には高いハードル

遺体が見つからないにもかかわらず、殺人罪に問われた例はほとんどない。

栃木県小山市で昭和63年から平成元年にかけ、女性=当時(18)=と知人の男性=同(26)=が相次いで殺された事件で、殺人容疑などで女性の夫が逮捕された。

「2人は突然体調が悪くなり、気が付いたら死んでいた」

夫は殺害を否認。また埋めたとした遺体も女性の一部しか見つからず、男性の遺体はまったく発見されなかった。

ただ、遺体の遺棄を手伝った夫の父親の供述などから、神奈川県警は2人が殺害されたと断定した。

公判でも、夫の姿勢は変わることはなく、最高裁まで争われたが、父親の供述の信用性が認められ、夫の死刑判決が確定した。

板倉氏は「遺体が見つからず、裁判で有罪が確定した例は、この事件ともう一つくらいしか記憶にない。それだけ立証が難しいのかもしれない」と話す。

一方、死体が見つかり死因が特定できなかったものの、殺人罪に問われた事件もある。

東京都多摩市で平成18年12月、元都職員の男性が自宅の床下からコンクリート詰めにされて切断遺体で見つかった事件では、遺体の顔に殴られた跡があったが、死因は特定できなかった。

この事件では、当初から知人の元中国籍の女(41)の関与が疑われたが、女は一貫して殺害を否認。死因も特定できないことなどから、警視庁はなかなか逮捕に踏み切れなかった。しかし、事件発覚から約3カ月後に逮捕に踏み切る。

女が、遺体の隠蔽(いんぺい)に使ったコンクリートなどを購入していたことや、遺体が隠されていた床下収納庫のふたに張られた粘着テープに女の髪の毛が付いてたことなどから、警視庁は「元都職員は病気などで突然死ぬ状態ではなかった。殺害されたとみるべきで、状況から女の犯行と断定できる」とした。

「苦しいが、女の犯行に間違いないと信じている。逃げ得は許されない。最高裁まで争うことになるかもしれないが、覚悟の上で逮捕したんだ」

当時の捜査幹部が、苦しい胸の内を明かしていたのも事実だ。

「チャーリー」を9年前に落とせず第2の犯行を許した埼玉県警と、埼玉の事件まで落とした警視庁。「埼玉の事件まで落とせたのは刑事冥利(みょうり)に尽きる」(捜査幹部)と喜ぶが、野崎容疑者の改悛は本物なのか。捜査陣には事件の立証と公判維持という高いハードルが待ち受けている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081018-00000516-san-soci

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