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2008年5月28日 (水)

死刑になりたい(下):なぜ?凶悪事件、犯行動機で供述


死刑を求めて罪を犯し、罰として望み通りに死刑になった典型的な例が、大阪教育大付属池田小乱入殺傷事件で、児童8人を刺殺した
宅間守元死刑囚。弁護にあたった戸谷茂樹弁護士によると、宅間元死刑囚は犯行前2~3カ月の間に2度、自殺未遂をしている。そして、判決確定から1年弱という異例の早さで望み通りに死刑を執行された。戸谷弁護士は死刑の執行を聞いたとき「本望を遂げたな」と思ったという。

「彼は、本当に死刑になりたくて犯罪を実行した、と言っていいと思います。彼にとって死刑は、罰ではなかった。望んでいる人に対する死刑は、罰としては機能しない」 戸谷弁護士は続けた。

「(『死刑になりたかった』と供述する)犯罪は、自殺願望の裏返しである場合が結構あると思う。自殺願望の原因はいろいろですけど、いずれにしろ、生きる価値がない、と結論を出した。そういう人が年間3万人いる。その中に、死刑を望んで罪を犯す人がいてもおかしくない。それを避けるためには、どうやって生きる望みを味わうことができる社会にするか、っていうことだと思うんです。宅間に対する支援者がたくさん出てきたのは、『私もかつて同じような状況だった』とか、彼の思いや行動が理解できる人が相当数いたからです。世の中複雑になればなるほど、格差社会になればなるほど、そういう人が出てくる」



米国では、以前から死刑願望者による事件が起きている。「死刑の大国アメリカ」(亜紀書房)の著書がある宮本倫好・文教大学名誉教授(米国近代社会論)によると、州ごとに死刑制度の有無が異なる米国では、わざわざ死刑制度のある州で、無差別に殺人を犯すケースがいくつも存在するという。

宮本教授は「日米各ケースの内容は千差万別だと思う」とした上で、「強いて共通点を探すとすれば、やっぱり若者の間の絶望。米国の格差は日本とは比べものにならないくらいひどいけれど、両国とも今は暗くて閉塞(へいそく)感がものすごい。格差社会はますます徹底しているし、日本も、アメリカ型社会の後をある程度追っているんじゃないか、ということが言えると思いますね。心の弱い希望のない若者が犯罪に走ったり、死のうとする。絶望の中に、犯罪の種が生まれるというのは分かる気がします」



著書「死刑」での森さんの結論は、死刑廃止だ。それでも、死刑願望からの犯罪を防ぐことを理由に死刑制度廃止を唱えるのには懐疑的だ。森さんは「大切なのは、死刑に関する情報公開と共に、罪と罰とは何か、を考えること」と強調する。

「だって僕ら、国民一人一人が、認めて、払った税金で(死刑は)行われていることなんですから」

相次ぐ事件は、目をそらしがちな死刑という制度と格差が広がる社会に、向き合う時機が来ているという、一つのサインなのかもしれない。


■今年すでに3件
死刑願望を動機として供述した事件は今年、少なくとも3件起きた。2月、東京都新宿区の公衆トイレで見ず知らずの男性の頭を金づちで殴り殺人未遂容疑で逮捕された男(31)▽3月、茨城県土浦市のJR荒川沖駅の8人殺傷事件で逮捕された男(24)▽4月、鹿児島県姶良(あいら)町のタクシー運転手殺人事件で逮捕された男(19)の各容疑者が、死ぬことを目的に、無差別で犯行に及んだと供述している。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080528mog00m040025000c.html?inb=yt


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