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2008年1月10日 (木)

第20回 見るものすべてが懐かしく、小さな虫までもが愛しい




死刑が決まった。
やがては、自分を見つめ直す時間が訪れるのだろうか?




11月1日(木)
”人は死期を悟ると真実が見えてくる”


と言われるが、いまだ私には何も見えてこない。真実を見極める能力そのものが欠落しているからだろう。しかし今、処刑を待つだけの身になってからは見るものすべてが懐かしく思え、生きている小さな虫までがとても愛しく思えるようになった。この世のすべてのことに意味があり素晴らしいことに思えるようになった。そして、本を読み、音楽を聴くたびに涙が出てくる。



(中村忠二 花と蟲より)


”涙は心が血を流す方法のひとつ”

だそうだけど、小説の一場面を読むごとに自分のこれまでの生き様を重ね合わせて、本当にすぐ涙が出てしまいます。私の場合は単に齢老いて涙脆くなっただけのことかもしれないがー。



9時の減灯まで現代小説を読んでいると、それまで読んでいた内容に自分の事のあれこれを重ねて考えてしまい,朝まで眠れないことが幾度もあったので,この頃は遅くても8時以降は必ず時代小説を読むことにしている。就寝時間になり読んでいた時代小説の世界に浸っているうちに意外と早く眠りに入れる。 私はもともと時代小説が好きで,
山本周五郎,吉川英治、山岡荘八,司馬遼太郎、池波正太郎,藤沢周平の本はほとんど読みました。まだ続いているが平岩弓枝の御宿かわせみシリーズも好きな小説だ。今は私が一番好きな作家は宇江佐真理です。髪結い伊三次捕物余話の、『幻の声』『紫紺のつばめ』、を読んで、『さらば深川』『さんだらぼっち』『黒く塗れ』の文庫化された三冊を先日購入したが,すぐに読んでしまうのが勿体なくて手元に置いていつから読み始めようかと楽しみに考えている。この作家の、『余寒の梅』『甘露梅』『おちゃっぴい』も読んで鼻の奥が痛くなり涙が出た。この作家の文庫本が発刊されるのを心待ちにしている。あと北原亜以子慶次郎縁側日記も文庫本で、『傷』『再会』『おひで』『峠』『蜩』『隅田川』『脇役』、と読んできた。先日、『やさしい男』、が発刊されたので来週購入予定。このシリーズ最新版が単行本『月明かり』で刊行されたので早く文庫になればいいなと思っている。時代小説でベストセラーを続けている佐伯泰英の本は、シリーズ別に何冊か読んだが、続けて全冊を読みたいとは思わなかった。





つい先日官本で借りて、
船戸与一『虹の谷の五月』を読んだ。マニラで日本人の子を産んで働いていた母が病死したため3才の男の児は、田舎で一人暮らしをしている母の父(祖父)に引き取られて成長していく。ジャピーノ(日比混血)の少年が主人公の小説だが、田舎の貧しい生活、ジャピーノゆえの差別。貧困から起る出稼ぎやゲリラの問題。闘鶏の飼育を教えてくれた祖父が亡くなり、16才のジャピーノがこれから一人で闘鶏で生きていく場面で終るのだが、読んでいる間も、読み終わってからも主人公の日比混血の少年にToby
の姿を重ねてしまって、大泣きしてしまった。



今朝、控訴を取下げた。



「年報、死刑廃止、07」「インパクト出版会」巻末の死刑確定者一覧を見ると無罪主張者、最新請求者を除きほぼ確定した順番に執行されていることが分かる。東拘には約50名余の確定者がいるが、そうした除外者をはずすと私の前に位置する確定者は10名位だからTobyが満5才の誕生日を迎える日本で同じ空気を吸っていることは難しいかもしれない。果たしていつまで生きられるか分からないが、
死刑確定する事で、自分の生き様を見つめ直す時間が訪れると思っている。



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